ハラキリロマン

黄金色の坂道で加速したら 二度と戻れないから

桂川 その3

派遣会社から新しく新人の人たちが入ってきた

わりと古株にあたるベテランの人たちが彼ら一人一人にマンツーマンでついて

教えてあげている研修期間

桂川さんが教育係として教えているのは高須くん

まだ18歳、見るからにいまどきの若者という感じの

茶髪少年だ

正直、僕は苦手なタイプだな、と思った


「高須くん、オシャレな髪型だね、それ

右と左の髪の長さが違うなんて、新しいよね」


おぉ、桂川さんがやんわりとヤツのチャラついた髪型について

注意を加えていったぞ


「あ、これ、アシンメトリーっつって、まぁ別にそんなに新しくもねぇっつーか」


おいおい、なんだキサマその返しわっ!

上官の命令は絶対だと派遣会社から教わらなかったのかっ!

教育係が新しいっていえば、前方後円墳だって新しいんだよっ!


「へぇー、そうなんだぁ、全然知らなかったよー

でも手入れとか、大変なんじゃない?

左右の長さがそろわないようにするのとかさ」


ぶほっ、そりゃあナイスな皮肉でやんすなぁ、桂川さん!

左右の長さがそろっちゃったらヤツのアイデンティティ崩壊の危機ですからね!

左右そろっちゃわないよう、必死こいてかたっぽ切っていかないと笑


「いやぁ、まぁ長さはいいんですけど

俺、髪の毛の量がすげぇ多いんで

毎回髪の毛すくのがすげぇ大変なんすよね」


ぶほっ!なんて好戦的なコゾーなんだ!

桂川さん相手に、髪の毛の量が多くて困っている、だとぉ!

てめぇは他人の後頭部を見て物を言えっつーの


「へぇー、そうなんだ

ところで高須くんはなんか趣味とかあるの?」


ほら見てみろぉ、桂川さんがいたたまれなくなって

話題をほかに変えちゃったじゃないかぁ


「自分はこう見えてけっこう歴史小説とか好きなんですよー

特に幕末が」


き、キサマ、桂川さんの前で幕末や明治維新の話は厳禁だと

あれほど言っただろうがぁ!!(言ってない)

派遣会社から注意をしてもらわにゃならんな、これは

こいつは桂川さんに幕末の話をした罪で離れ小島送りだ


「へぇ、そうなんだ、僕もけっこう幕末とか好きだよ

誰が高須くんのフェイバリットサムライなの?」


ぼ、僕には見える。。。内心は幕末の話をされたことでハラワタ煮えくり返りながらも

優しく彼の話にあわせたフリをして

強烈な皮肉をズイショにちりばめていくという桂川さんの作戦が

桂川秀明、恐るべき皮肉使いだぜ!


「俺はやっぱ、桂小五郎が一番好きですね」


なっ、桂川さんが皮肉を放つ間をあたえず

いきなりその名をだしてくるとは。。。

このガキ、意外に使い手なのかもしれん


「あ、そういえば桂川さんって名前、桂小五郎に近いじゃないですか

いいなぁ、俺もカツラって名前に生まれたかったなぁ。。。」


原爆投下!!ちゅど〜〜ん!!

桂川さんが一番大切にしている「俺は桂川であって、決してカツラではない」

というこだわりを軽くいっしょくたにしやがった

「カツラも桂川も同じツルツルじゃん!」て言っているようなもんなんだぞ、キサマの理論は

しかも「俺もカツラっていう名前に生まれたかったなぁ」


だとぉお!!

その名前がふくむ苦しみについて、おまえはまだ考えもしないんだろうなぁ

にくい、その若さがにくいぜぇ!

桂川さんはなぁ、その名前に生まれついたばっかりに

ハゲあがったあと、人として与えられている当然の権利としての選択肢を

生まれながらに一つ失っているんだぞ!

桂川という名前でさえなければ、桂川さんだって

頭に疑似頭髪をのっけるという選択肢だってあったはずなんだ

でも、桂川って名前でカツラかぶってたら

それこそ歩く爆笑製造マシーンと化してしまうってことで

桂川さんは必死にこらえてるんだぞ、かぶるのをっ!

それをなんだ、キサマは、気軽に

カツラって名前に生まれたかったなぁ、だとぉ!

若さってのは、なんて残酷なんだ!


「下田君、こっち手伝ってくれる?」

「あ、はい、今行きます」

こうして僕はほかの部署へと移動させられてしまい

桂川さんの驚異の反撃を見ることはできなかった

桂川もカツラも同じ呼ばわりされた桂川さんがどれほどの激しい報復を行ったのか

僕にはわからないが

しばらくして、高須くんが仕事にこなくなったことだけは確かだった




  1. 2008/05/15(木) 23:43:38|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
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コメント

やっぱりダーク桂川さんやってんな

輝くおつむりの上司に 『薄いですが』て コーヒーを注いでもうた ウチも…
  1. 2008/05/16(金) 08:14:03 |
  2. URL |
  3. かめ #-
  4. [ 編集]

ズラ

なんだか、すっっっごく
「銀魂」が読みたくなっちゃいました。。。
  1. 2008/05/16(金) 16:33:34 |
  2. URL |
  3. はつき #-
  4. [ 編集]

かめさん この桂川ネタは、桂川さん自体がどう思っているのかは一切わからないんですけど、主人公のなかでふくらんだ桂川像が一人歩きする形態なんですよ。なので、ここで高須くんがこなくなったのも、彼の目から見れば桂川さんが辞めさせたようにしか見えないんですけど、実際は高須君はいまどきの若者キャラなので、職場くらいは普通にぶっちするかもしれないですしね、真相は闇の中です





はつきさん コメントありがとうございます。銀魂って自分はあんまちゃんと読んだことがないんですけど、ヤフーのブログ紹介んところでも銀魂っぽいって書かれてたし、こういう感じなんですか、読んでみたいっす
  1. 2008/05/16(金) 19:03:25 |
  2. URL |
  3. ハラキリ #-
  4. [ 編集]

桂川さん、臼井さん、都瑠さん、光里さん等と、
世の中には落とし穴が一杯あるのです。ほんと。
しかし小学生なんかだと残酷だったりするんで、
都瑠って名字だと「ぱげ」ってあだ名つけたり、
まったく容赦しないのであった。恐ろしいねぇ。
彼が薄くならなくて本当に良かった。ほんとに。
薄くなってたら子供の頃のあだ名が封印だしね。

しかし、鶴房さんだと、「どっち?」だよねぇ。
  1. 2008/05/17(土) 04:21:49 |
  2. URL |
  3. です #-
  4. [ 編集]

はは、そんなにたくさんのひきだしがあるですさんに恐れ入りました笑。
いや、でも、最初からハゲみたいな名前だったら、まぁ選びようがないから仕方がないけど、カツラさんは、自分で選んでカツラにするかどうかを考えるわけじゃないですか、そういうの考える瞬間、絶対思うと思うんですよね
「俺の名前がカツラじゃなかったら、かぶってるのに!」て。
その、選べるところが苦しみ、みたいな。そういうのを想像してみました
  1. 2008/05/17(土) 21:34:46 |
  2. URL |
  3. ハラキリ #-
  4. [ 編集]

選択の自由

あぁ!あぁ!なるほど。なるほど。そういうことですね。
「もし、俺が包茎じゃなけりゃ、カムリに乗ったのに。」
って感じかな。うんうん。選べる苦しみだよね。うーん。
  1. 2008/05/17(土) 23:10:16 |
  2. URL |
  3. です #-
  4. [ 編集]

名は体を表す

他人の意識のなかで、ひとりあるきしはじめる もう一人の彼

ロミオであっても ロミオでなくても 愛しいひと

バラであっても のうても かぐわしい香り…て わけには いきまへんな

彼が桂川なればこそ 膨らむストーリーとすれば

このオッサンが突然、ヨメのほうの名字を 名乗ったり 実は在日でしてん、て 韓国や中国の名を 名乗らはったら 膨らんだストーリーは、どんななりますのやろ

銀魂の桂は ツヤツヤの長い黒髪です

  1. 2008/05/18(日) 00:54:34 |
  2. URL |
  3. かめ #-
  4. [ 編集]

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